静電容量無接点方式の特徴とおすすめキーボード

キーボードのスイッチ機構にはいくつか種類があります。メカニカル方式、メンブレン方式、パンタグラフ方式など。そんな中に「静電容量無接点方式」というスイッチ機構のもあります。

ここでは静電容量無接点方式について以下の項目でまとめました。

  1. 「静電容量無接点方式」とはどんなスイッチなのか
  2. 「静電容量無接点方式」のメリット・デメリット
  3. 「静電容量無接点方式」を採用したおすすめキーボード

静電容量無接点方式のキーボードを購入するか検討している方は参考にしてみてください。

目次

「静電容量無接点方式」とはどんなスイッチなのか

まずは静電容量無接点方式がどういったスイッチなのかを説明します。

「静電容量無接点方式」の構造

引用元:https://www.realforce.co.jp/features/

静電容量無接点方式の構造は以下のような構成になっています。

図を見ると分かるとおり、スイッチのON/OFFを検知する部分に接点がありません。これが「無接点」といわれる所以となります。では、どうやってスイッチのON/OFFを検知しているかですが、それは「静電容量」の部分にかかってきます。

静電容量無接点方式では円錐バネ(スプリング)が押下によって変形し、それによって起こる静電容量の変化によってスイッチのON/OFFを検知しています。したがって、物理的な接点はないということになります。

また、円錐バネを覆うカップラバーがありますが、このカップラバーが打鍵感を決定づける要素になっています。円錐バネは荷重に対して影響を与えにくいため、カップラバーによって幅広い打鍵感を実現できます。重い打鍵感にしたければカップラバーを固めに、軽い打鍵感にしたければカップラバーを柔らかめにといった感じです。

カップラバーより上の構造については特徴的な構造はなく、メカニカルやメンブレンと大差はありません。

「静電容量無接点方式」のメリット・デメリット

ここからは静電容量無接点方式のメリットデメリットについて紹介します。購入を検討する際の参考にしてみてください。

メリット

静電容量無接点方式のメリットは以下の通りです。

「静電容量無接点方式」のメリット

以降では、各メリットの詳細について解説します。

高い耐久性

静電容量無接点方式の最も突出しているメリットは、この高い耐久性です。

メカニカルキーボードやメンブレンキーボードはスイッチ部分と接点があります。その接点は経年やスイッチングの摩耗によって劣化して、徐々に正確な入力検知ができなくなります。次第にはチャタリングなどを引き起こしてしまいます。

一方、静電容量無接点方式は無接点でスイッチングによる摩耗はないので、劣化がしにくいスイッチです。また、経年による劣化も起きにくいので、非常に高い耐久性を誇っています。同じキーボードを長く使い続けたいのであれば、静電容量無接点方式のキーボードを選ぶと良いでしょう。

チャタリングとは

チャタリング(chattering)とは、接点が接触状態になる際に、微細なON/OFFを繰り返してしまい、意図しない信号入力が発生してしまうことを表します。電気回路をリレーを使ったりするとよく出会う現象で、発生したときに「チャタる」と言ったりする人もいます。

高い入力信頼性

こちらは「高い耐久性」も関わってきますが、静電容量無接点方式は入力信頼性も高いスイッチです。

接点がないためチャタリングは発生しにくく、またスイッチの劣化によってスイッチングが反応しなくなるということもありません。そのため、誤入力があると困る金融機関、流通、交通、医療、コンビニATMなどで採用されており、まさにプロ向けのスイッチと言えます。

スムースな打鍵

静電容量無接点方式のスイッチは物理的な接点がないため打鍵もスムースです。

キーを押し込むと変な引っかかりはなくスッと押し込まれます。もちろん打鍵感はラバーカップによって調整されており適度な抵抗があります。しかし、打鍵の気持ちよさに関してはメンブレンとは雲泥の差を感じるでしょう。メカニカルと比べても少し勝っているかなと感じます。

疲れにくい

静電容量無接点方式は底打ちをすることなく入力が検知されるため、指に対する負担が少ないというメリットもあります。とくにメンブレンと比較するとかなり変わってきます。また、「スムースな打鍵」により、長時間タイピングをしても疲れにくく、ブロガーやプログラマーに愛されるスイッチとなっています。

デメリット

静電容量無接点方式のデメリットは以下の通りです。

以降では、各デメリットの詳細について解説します。

価格が高い

静電容量無接点方式を採用しているキーボードに対して総じて言えることは、とにかく「高い!」ということです。どれほど安い静電容量無接点方式のキーボードを選んでも2万円はします。

メカニカルのキーボードだと安い物であれば5,000円前後で購入することができます。メンブレンであればさらに安く購入できます。

このように他の方式のキーボードと比較すると、価格は高いと言わざるを得ません。

薄いタイプのスイッチがない

静電容量無接点方式を採用しているキーボードは、多分に漏れずキーストロークが深い傾向にあります。これは構造上薄くすることが難しいためであり、どうしてもストロークの長さが必要になるのです。

一方、メカニカルキーボードだと、キーストロークが短く薄いタイプの物も登場しています。当然、メンブレンも薄いタイプがあります。浅いキーストロークのキーボードが欲しい人にとっては、現状では静電容量無接点方式は合わないということになります。

試打できる環境が少ない

これは静電容量無接点方式自体のデメリットではないのですが、静電容量無接点方式を採用しているキーボードは店頭ディスプレイが少ないです。

そのため、「とりあえずどんな感触なのかな?」と試してみたいと思っても、なかなか試し打ちできないという状態です。ただ、最近は以前に比べて置いている店も増えているので、根気よく探せばどこかしらにはあると思います。

静電容量無接点方式」を採用したおすすめキーボード

ここからは静電容量無接点方式のスイッチを採用したおすすめキーボードを紹介します。購入検討時の参考にしてみてください。

「静電容量無接点方式」を採用したおすすめキーボード一覧

REALFORCE

静電容量無接点方式といえば、この『REALFORCE』がもっとも代表的なキーボードでしょう。東プレが製造販売している『REALFORCE』は製品精度の高いスイッチと、それを活かした高品質なキーボードです。

幅広いラインナップを誇っており、フルキーボードやテンキーレス、変荷重や等荷重(30g、45g、55g)、Windows用やMac用といった感じで、用途に合わせてモデルを選ぶことができます。はじめて静電容量無接点方式のキーボードを購入するのであれば、やはり『REALFORCE』が安定と言えるでしょう。

東プレ<br>相場価格:35,000円

HHKB

こちらも静電容量無接点方式を採用する代表的なキーボードです。東プレが製造している静電容量無接点方式を採用したOEM製品ですが、『REALFORCE』とは狙っているターゲットが大きく異なります。

『HHKB』は非常にコンパクトかつも特殊なキー配列を備えたキーボードです。この特殊なキー配列はプログラマやエンジニアには人気がありますが、一般的な用途だと少し不便さを感じるかもしれません。ただ、『REALFORCE』とはまた少し違った打鍵感があり、その気持ちよさにハマる人もいます。

また、とてもコンパクトなキーボードなので、静電容量無接点方式のキーボードを持ち運んで使いたい方は、『HHKB』を検討してみる価値はあります。

PFU<br>接続方式:無線/有線<br>相場価格:35,000円
PFU<br>接続方式:無線/有線<br>相場価格:30,000円前後
PFU<br>接続方式:有線のみ<br>相場価格:25,000円

LEOPOLD

韓国のLEOPOLD社も静電容量無接点方式のスイッチを採用したキーボードを製造しています。

キー配置を工夫することでテンキー付きでありながらテンキーレスとほぼ同サイズの製品を出していたり、『HHKB』のように非常にコンパクトなタイプのキーボードも作っています。もちろん、採用しているスイッチは東プレ製の静電容量無接点方式なので、製品精度の高いキーボードになっています。

ただ、ラインナップが少ないので、自身の好みに合うものを見つけにくいかもしれません。

LEOPOLD<br>接続方式:有線のみ<br>相場価格:35,000円

NiZ

中国のAKEEYO社が製造販売する『NiZ』も静電容量無接点方式のスイッチを採用したキーボードです。ただし、今まで紹介したキーボードとは違い、東プレ製ではなく独自の静電容量無接点方式スイッチを採用しています。そのため、東プレのスイッチと打鍵感が異なり柔らかな感じに仕上がっています。

また、若干キートップの品質などが今まで紹介したものより劣る傾向にありますが、その分価格は抑えめになっています。「とにかく安い静電容量無接点方式のキーボードが欲しい」という方は、『NiZ』を検討してみると良いでしょう。

まとめ

「静電容量無接点方式」の特徴とおすすめキーボードをまとめましたが、参考になったでしょうか。

一度触ると、その良さの虜になって抜け出せないほど気持ちの良い「静電容量無接点方式」(私もその一人)。

ぜひ一度「静電容量無接点方式」のキーボードを触ってみてはいかがでしょうか。

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