キーボードにこだわり始めると、必ず出会うことになるであろう『HHKB』(Happy Hacking Keyboard)シリーズ。
プログラミングやブログ記事作成など、長時間タイピングを行う人は一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。また、昨今はテレワークで業務をする方も多く、家で快適なデスク環境を作るために購入を検討している方も多いでしょう。
ここでは、エンジニアとして『HHKB』シリーズを10年以上使い続けている私が、現行最新の『HHKB Professional HYBRID』(以降「HHKB HYBRID」)を使ってみた感想を、
に分けて紹介します。
『HHKB HYBRID』の概要
『HHKB HYBRID』はキーボードメーカーとして有名なPFUの主力製品で、『HHKB』シリーズの最上位モデル『HHKB HYBRID Type-S』の静音対策を排除したものになります。
価格は最上位の『HHKB HYBRID Type-S』ほどではありませんが、それでも高価な製品です。しかし、その値段に見合う完成度に仕上がっています。
キーボード沼にハマったら、一度は手にすることになるであろう定番キーボードと言えるでしょう。
『HHKB HYBRID』の主な仕様
『HHKB HYBRID』の主な仕様は以下の通りです。
キー仕様 | 静電容量無接点方式 シリンドリカル・ステップ・スカルプチャ形状 押下圧:45g ストローク:4.0mm キーピッチ:19.05mm |
接続インターフェース | 無線:Bluetooth Ver4.2LE Class2 有線:USB Type-C |
無線接続距離 | 最大10m |
サイズ(mm) | 幅 294×奥行 120×高さ 40 (キートップ上面まで) |
重量 | 540g (電池含まず) |
電源 | 単3形乾電池×2本、USBコネクターからの給電 |
動作時間 | アルカリ乾電池使用時の目安:約3カ月 |
サポートOS | Bluetooth接続: Windows 8.1 / Windows 10 / Windows11 macOS 10.14以降 Android 4.4以降 iOS 11.4以降 iPadOS 13.0以降 USB接続: Windows 7 / Windows 8.1 / Windows 10 / Windows11 macOS 10.12以降 |
『HHKB HYBRID』の特徴
ここからは『HHKB HYBIRD』の特徴について紹介します。
究極の打鍵感
https://www.pfu.fujitsu.com/direct/hhkb/detail_pd-kb800b.html
キーボードのキモであるスイッチ機構には東プレ製の「静電容量無接点方式」を採用しており、究極の打鍵感を実現しています。
また、無接点(底打ちなし)でスイッチングするため、指に負担を掛けることなくタイピングできます。
高耐久性
こちらも「静電容量無接点方式」が故の特徴となります。
無接点なので接点部分に物理的な摩耗はなく、経年による劣化が極端に少ないという特徴があります。その耐久性はメカニカルキーボードをも凌ぎます。
持ち運べるコンパクト設計
https://www.pfu.fujitsu.com/direct/hhkb/detail_pd-kb800b.html
『HHKB HYBRID』は極限までムダを省いたキー配列になっており、その大きさはA4ハーフサイズ強のコンパクトサイズです。
そのため、持ち運んで使うこともできますし、デスクスペースを圧迫するともありません。
Bluetoothによる無線接続
https://www.pfu.fujitsu.com/direct/hhkb/detail_pd-kb800b.html
『HHKB HYBRID』シリーズはBluetooth接続にも対応しており、利便性にも優れた製品になっています。
最大4台のデバイスとBluetoothでペアリングすることができ、ショートカットキーで簡単に切り替えできます。
『HHKB HYBRID』の感想
ここからは『HHKB HYBRID』を実際に使ってみて感じたことを、以下の項目で紹介します。
良かったところ
『HHKB HYBRID』を使ってみて「良いな!」と感じたところから紹介します。
他を寄せ付けない至高の打鍵感(Type-Sを凌ぐ感じがする)
『HHKB』シリーズの購入を考えている方の多くは打ち心地、つまり打鍵感が気になっていると思います。極上の打鍵感を得るために『HHKB』シリーズが気になっていると言っても過言ではないでしょう。
では、『HHKB HYBRID』の打鍵感はどうだったかというと…極上も極上、最極上といっても過言ではありません!(日本語がおかしい)
今まで多くのキーボードを触ってきましたが、その中でも一番気持ち良いと感じます。
『HHKB HYBRID』を購入する前は『HHKB HYBRID Type-S』が最強だと思っていましたが、それを凌ぐ感じがします。
比較しないとわかりませんが、若干『HHKB HYBRID Type-S』の方は引っかかりを感じます。静音対策している部分が関係しているのかも?
押下圧は軽すぎず重すぎず、適度な反発力と深いストローク、そして、スッと沈む気持ちよさ。どの部分を切り取っても「完璧」と言っても良いかと。とくに意味もないけどキーボードを触っていたくなります。
また、仕様上は押下圧45gとなっていますが、以前使っていた押下圧45gの『HHKB Professional2 Type-S』と比較すると、若干軽くなっているように感じます。体感としては40gくらい。
ただ、過去に紹介した『Mac用REALFORCE(荷重30g)』のように指を置いただけで入力されるほど軽くはないため、「指をホームポジションに置いていたら勝手に入力されていた」といったことはなく、安心してタイピングできますよ。
『HHKB HYBRID』でタイピングしているだけで、仕事が捗るような感覚になれるので、少しでも快適な環境で仕事をしたいと考えている方は購入を検討することをオススメします。
無線接続はやはり最高
『HHKB HYBRID』シリーズはBluetoothによる無線接続に対応しています。
最大4台まで無線接続が可能となっており、キー操作によって簡単に接続機器を切り替えることができます。
切り替えは非常にスムースで、私はWindowsPCとMacBookを切り替えながら使用していますが、切り替えに手間取ることはありません。また、切替のショートカットを入力すると、すぐに切り替わってくれます。
そして、コードレスってやっぱり良いものです。机の上がスッキリして掃除とかもしやすいですし、MacBookをリビングに持っていって使うときも、HHKBを簡単に持っていくことができるので、いつでもどこでもHHKBの環境でタイピングできます。
無線接続は2本の単三電池によって電力をまかなっているのですが、このバッテリー持ちも素晴らしいです。
一般的なアルカリ電池を使えば約3か月持続するとのことですが、実際に趣味でのプログラミングやネットサーフィンなどで使い続けてみたところ4か月ほど持続して使用できました。
1日の使用時間によって変わりますが、これだけ持続してくれれば十分ですよね。
また、充電式の内蔵バッテリーではないので、バッテリー劣化を気にしなくて良いというのもプラスポイントですね。
内蔵バッテリーだといつかはへたって持続時間が減少してしまいますから。
有線接続がUSB Type-C
無線接続が最大の特徴である『HHKB HYBRID』シリーズですが、もちろん有線による接続にも対応しています。有線接続で接続している場合は電池を消費しないので、電池が無くても使えます。
そして、接続方式は便利な「USB Type-C」を採用しています。
製品によっては、未だに「USB micro-B」を採用しているものもあったりするので嬉しいですね。上下を気にすることなく、サクッとさせる「USB Type-C」はやはり最高です。
PFUの「ユーザーに最高の環境を!」という姿勢が反映されている製品と言えるでしょう。
どちらとも言えないところ
ここからは「良いとも悪いとも言えない」と感じたところを紹介します。
タイピング音は結構大きめ
『HHKB HYBRID』でもっとも気になる部分は打鍵音/タイピング音です。
静音性を重視した『HHKB HYBRID Type-S』が存在しているだけあって、打鍵音はそれなりに響きます。
ただ、音自体は嫌な音ではなく、周囲を気にしなくて良い環境であれば、この音が最高に気持ちよく感じます。
しかし、仕事場やカフェなどに持っていって使うことを想定しているのであれば、『HHKB HYBRID Type-S』を購入した方が無難かもしれません。
参考までに『HHKB HYBRID』と『HHKB HYBRID Type-S』の音の比較動画を下記にアップしておきます。
比較してみると、『HHKB HYBRID Type-S』は高音域のカチャカチャ音がかなり軽減されていることがわかります。一方、『HHKB HYBRID』は高音域が結構響いています。
この音を良しとするかどうかはユーザー次第でしょう。
ちなみに、もっと長時間タイピング音を聞きたい方は、以下にASMR動画もあるのでこちらもどうぞ。
墨色はスタイリッシュだが刻印は見えにくい(墨色限定)
今回購入した『HHKB HYBRID』は墨色を選択しましたが、見た目はとてもスタイリッシュで気に入っています。無機質な印象でありながら玄人感が溢れる色合いで、「まさに仕事道具!」といった印象を与えてくれます。
一方で、刻印の色も黒であるため、刻印が見えにくいというデメリットもあります。
私はもうHHKBに慣れてキー配置を覚えているので刻印を見る必要がありませんが、初めてHHKBを購入した場合、使い始めはキー配置に戸惑うこともあると思います。そうなったとき、この刻印の見えにくさは少し煩わしく感じるかもしれません。
刻印の視認性を重視するのであれば、白色のHHKBを選択した方が良いと思います。
イマイチなところ
最後に使ってみて「イマイチだな…」と感じたところを紹介します。
重量が少し気になる
無線接続のために2本の単三電池を入れる必要があるのですが、その代償として重量が増している点が少しマイナスポイントですね。まあ、こればかりは仕方ないわけですが。
以前使っていた『HHKB Professional2 Type-S』は「軽っ!」と感じましたが、『HHKB HYBRID』は少しズッシリと重みを感じます。
持ち運びをメインで考えているのであれば、この重量は少し厳しいかもしれません。
『HHKB』のコンセプトは「持ち運んでいつでも同じ環境でタイピングしよう」というものなので、コンセプトとも少し相反するものになっているかなと感じます。
といっても無線接続の利便性と天秤を掛けると、無線接続の利便性が勝っているので、トータルで見たら『HHKB HYBRID』は過去最高の『HHKB』と言えるでしょう。
まとめ
総合的にみて「完全無欠のキーボードか」と言われれば、そうとは言い切れない部分もあります。しかし、歴代最高傑作の『HHKB』であるのは間違いありません。
音を気にしなくて良い環境であれば、『HHKB HYBRID』を買っておけば間違いないでしょう。
これほどユーザーを気持ちよくさせてくれるキーボードはこれ以外にないと思います。
もし、音を気にしなければならない環境ならば、下記の『HHKB HYBRID Type-S』も検討してみた方が良いです。
こちらも打鍵感は若干劣る感じ(気のせいかも)がしますが、それでも気持ちよさは他のキーボードとは比較にならないほど素晴らしいです。
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